第14回第1部

1) 静磁場が強くなると起こる現象に関する正しい記述はどれか. 2 つ選べ.

  1. T2値は長くなる.
  2. 信号雑音比は大きくなる.
  3. 磁気回転比は大きくなる.
  4. ラジオ波の波長は長くなる.
  5. Magnetization transfer 効果は強くなる.
解答
2.5

解説
1.T2値は組織によって長くなったり、短くなる。
2.正しい。ほぼ比例するが、SARの規制があるため実際のSNRは2倍よりもかなり低下する。
3.磁気回転比は一定。r=42.58
4.短くなる。1.5Tでの人体内の波長は56cm、3Tでは28cm。反比例する。
5.正しい。T1延長により縦磁化回復が遅れるため

MRI完全解説 p398

2) 正しい記述はどれか. 2 つ選べ.

  1. T1値 ≧ T2値
  2. T2値 > T2*値
  3. 脂肪の T1値 > 水の T1値
  4. 脂肪の T2値 > 水の T2値
  5. 大脳白質の ADC > 大脳灰白質の ADC
解答
1.2

解説
T1緩和に寄与するのは相関時間=1/v0の成分のみ。T2緩和に寄与するのは全ての成分(相関時間=1/v0の成分を含む)。T2*に緩和に寄与するのは全ての成分(相関時間=1/v0の成分を含む)とB0の不均一性のような外部要因もプラスされる。このように、緩和に貢献する要因はT2*緩和で最も多く、T1緩和で最も少ない。よって緩和速度はT2*≧T2≧T1となり、緩和時間=1/緩和速度なので、T1値≧T2値>T2*値となる。純粋のみT1=T2となる。
1.正しい
2.正しい
3.水のT1値の方が大きい
4.水のT2値の方が大きい
5.灰白質の方がADCが大きい。ADC=拡散の大きさ。白質の方が神経細胞が多い(密になっている)ため、拡散しにくい。

MRI完全解説 p83-99

3) NMR 信号の信号雑音比に関する正しい記述はどれか. 2 つ選べ.

  1. T1値の長い試料ほど大きくなる.
  2. T2値の長い試料ほど大きくなる.
  3. エコー時間が長くなると大きくなる.
  4. 繰り返し時間が長くなると大きくなる.
  5. 1ch あたりの受信コイルの半径が長くなると大きくなる.
解答
2.4

解説
1.T1値の短い試料ほど大きくなる。
2.正しい。
3.エコー時間が短いほど大きくなる。
4.正しい。
5.受信コイル半径が短いほど大きくなる。

4) 円筒型の全身用超電導 MRI 装置において利用が困難な受信コイルはどれか.
※静磁場は体軸方向

  1. アレイコイル
  2. サドルコイル
  3. ソレノイドコイル
  4. サーフェースコイル
  5. バードケージコイル
解答
3

解説
ソノレイドコイルは垂直磁場で用いられる。

5) 受信コイルの半径を r,共鳴周波数をωとした場合,信号強度を表す関係式はどれか.
※ノイズは無視する.

1.rw2
2.r2w2
3.r3w2
4.√rw
5.w√r

解答
3

解説
わからない。

6) RF パルスを 3 回印可したときに発生するエコー数はどれか.
※RF パルスの 1 番目と 2 番目の間隔は 20ms,2 番目と 3 番目の間隔は 40ms とする.

  1. 2
  2. 3
  3. 5
  4. 7
  5. 8
解答
3

解説
MRI完全解説 p243

7) 1-2-1 の二項展開パルス(binomial expansion pulses)によって水を励起する.1
H の共鳴周波数を f [MHz],ケミカル
シフトを C [ppm]とした場合のパルス間隔はどれか.

  1. C・f
  2. 2・C・f
  3. 1 / (C・f )
  4. 2 / (C・f )
  5. 1 / (2・C・f )
解答
5

解説
二項展開パルスは水と脂肪の位相が反対の時にパルスを印可する。
1/f×Cごとに水と脂肪の位相が揃う。よって、半分の1/2f×Cで水と脂肪の位相が反対になる。

8) X 軸に対して 20mT/m の傾斜磁場をかけた場合,磁場中心から X 軸方向に 10cm,Y 軸方向にも 10cm 離れた地
点の磁場はどれか.

  1. 1mT
  2. 1.4mT
  3. 2mT
  4. 4mT
  5. 10mT
解答
3

解説
X軸方向のみに20mT/mの傾斜磁場がかかっているので、20mT/mで0.1m離れた場所の磁場は(20mT/m)×0.1m=2mTとなる。Y軸方向には傾斜磁場はかかっていない。

9) 傾斜磁場の波形を以下に示す.この傾斜磁場波形のスリューレート(mT/m/s)で正しいのはどれか.

  1. G / d
  2. G / d×10-6
  3. G×10-3 / d
  4. 2G / d×10-6
  5. G / 2d×10-6
解答
2

解説
スリューレート【mT/m/s】=傾斜磁場【mT/m】/立ち上がり時間【s】

10)正しい記述はどれか. 2 つ選べ.

  1. 部分フーリエ法は撮像時間を短縮できる.
  2. ゼロ充填補間法は空間分解能が向上する.
  3. 実空間の位置(座標)は k 空間の位置に対応している.
  4. 実空間のピクセル径(ΔX)の逆数が k 空間の横軸の長さ(kx)になる.
  5. k 空間の空間周波数成分(Δkx)の逆数が実空間のピクセル径(ΔX)になる.
解答
1.2.4 自信なし

解説
1.部分フーリエ法はk空間を上半分+4行程度を実測し、他は補正を入れて算出した値で埋めてMR画像を作る方法。なので撮影時間は半分程度で済む。
2.ゼロ充填補間法はみかけの空間分解能は向上する。
3.対応していない。
4.
5.
MRI完全解説 p191.195


11)正しい記述はどれか. 2 つ選べ.

  1. 傾斜磁場は磁気モーメントの位相分散(dephasing)を伴う.
  2. 傾斜磁場強度が低いほど,薄いスライス厚の撮像が可能である.
  3. 送信 BW(バンド幅)が広いほど,薄いスライス厚の撮像が可能である.
  4. 励起 RF パルスはシンク波で左右のローブが多いほどフーリエ変換は矩形に近づく.
  5. スライス選択傾斜磁場(GZ)を t 時間印加したことによる位相分散を再収束させるには,極性が反対で同じ強さ
    の傾斜磁場(-GZ)を同じ t 時間印加すればよい.
解答
1.4

解説
1.正しい
2.傾斜磁場強度が高いほど、薄いスライス厚の撮像が可能
3.送信バンド幅が狭いほど、薄いスライス厚の撮像が可能
4.正しい
5.(-GZ)をt/2時間印可すれば良い。

12)化学シフトに関する正しい記述はどれか. 2 つ選べ.

  1. 水の 1H 原子核の化学シフトは脂肪より約 3.5ppm 低い.
  2. 化学シフトアーチファクトは受信バンド幅を広げると強くなる.
  3. 第 2 の化学シフトアーチファクトはあらゆる方向に出現する.
  4. 第 2 の化学シフトアーチファクトを利用すると脂肪を定量できる.
  5. EPI を除き化学シフトアーチファクトは位相エンコード方向に現れる.
解答
3.4

解説
1.水の1H原子核の化学シフトは脂肪より3.5ppm高い
2.化学シフトアーチファクトは受信バンド幅を広げると弱くなる
3.正しい
4.正しい
5.EPIを除き化学シフトアーチファクトは周波数方向に現れる。EPIは位相エンコード方向に現れる

13)NEMA における均一性測定に関する正しい記述はどれか. 2 つ選べ.

  1. スライス厚は 10 ㎜以上にする.
  2. スパン Δは(Smax-Smin)/2 である.
  3. TR は信号発生物の T1値の 3 倍以上にする.
  4. データ収集マトリクスは 256×256 以上にする.
  5. 撮像画像に 9 点ローパスフィルター処理を行う.
解答
2.5

解説
1.スライス厚は10mm以下
2.正しい
3.5倍以上
4.128×128以上
5.正しい

14)NEMA におけるスライス厚測定に関する正しい記述はどれか. 2 つ選べ.

  1. 高速 SE 法が望ましい.
  2. シングルスライスで撮像する.
  3. TR は信号発生物質の T1値の 3 倍以上にする.
  4. ウエッジ法のスライス厚はFWHM × tan aである.
  5. ウエッジファントムが 2 つあるのは磁場不均一の補正のためである.
解答
3.4

解説
1.高速スピンエコーは高周波関数の信号が弱くなるため望ましくない。
2.マルチスライスで撮像する。
3.正しい
4.正しい。
5.ファントムの傾きを補正するため。

15)NEMA における SNR 測定に関する正しい記述はどれか. 2 つ選べ.

  1. 部屋とファントムの温度は 22±4℃にする.
  2. 信号発生物質の T2値は 50ms 以下である.
  3. 信号発生物質の T1値は 1200ms 以上である.
  4. TE は信号発生物の T2値の 1/2 以上にする.
  5. TR は信号発生物の T1値の 3 倍以上にする.
解答
1.5

解説
1.正しい。
2.信号発生物のT2値は50ms以上。T2値が大きくないと充分な信号が得られないため。
3.信号発生物のT1値は1200ms以下。T1値が小さくないと充分な信号が得られないため。
4.TEは臨床的に一般的な値に設定する。
5.正しい。

16)パラレルイメージングファクタを 1 から 2 に増やし,受信バンド幅を 2 倍,スライス厚を 2 倍にした場合の SNR はど
れか.
※ジオメトリファクタは無視する

  1. 1/2
  2. 1/√2
  3. 1
  4. 1 × √2
  5. 2
解答
3

解説
パラレルイメージングファクタを2倍にすると1/√2,受信バンド幅を2倍にすると1/√2,スライス厚を2倍にすると2,全て合わせると1となる。
パラレルイメージングファクタのSNRは1/g√R
g:ジオメトリーファクタ(折り返しの正確さ),R:リダクションファクター(パラレルイメージングファクタ,間引く割合が多いほど高い値となる)。


SNRは上記の式で計算できる。

17)スピンエコー法に対する高速スピンエコー法の特徴に関する正しい記述はどれか. 2 つ選べ.

  1. 脂肪の信号が高くなる.
  2. T1コントラストが向上する.
  3. T2コントラストが向上する.
  4. T2値の長い組織の信号が強調される.
  5. メタルアーチファクトの影響が顕著になる.
解答
1.4

解説
1.脂肪のJカップリングが抑制されることにより、脂肪が高信号になる。
2.
3.
4.正しい
5.180°パルスを繰り返すため、メタルアーチファクトの影響は少なくなる。

MRI完全解説 p231.336-341

18)マルチスライス法によるスピンエコー法(TR 500ms, TE 10ms, サンプリング時間 8ms)の撮像可能枚数の上限はど
れか.

  1. 27 枚
  2. 28 枚
  3. 30 枚
  4. 35 枚
  5. 36 枚
解答
4

解説
TE10ms,サンプリング時間8msなので実際に1枚あたりの撮像にかかる時間は半分の4msを足して14ms,TR500[ms]/14[ms]=35.7となる。なので撮像可能枚数は35枚。

19)反転回復(IR)法に関する正しい記述はどれか. 2 つ選べ.

  1. STIR 法は脂肪に対する特異性が低い.
  2. STIR 法は CHESS 法より信号雑音比が向上する.
  3. FLAIR 法はスライス非選択性の IR パルスを使用する.
  4. White matter attenuated IR 法は脳組織の灰白質の信号を抑制できる.
  5. Null point の時間は抑制したい組織の T1値に 0.693 を乗じと求めることができる.
解答
1.5

解説
1.正しい
2.STIR法は180°パルスを最初にかけてから、90°パルスをかけていく。そのため、縦磁化が完全に回復せずに信号収集が始まるので、信号雑音比が低下する。
3.FLAIRはスライス選択性のIRパルスを使用する。
4.White matter attenuated IR 法は白質と脳脊髄液の信号を抑制する。
5.正しい

20)Single-shot EPI に対する multi-shot EPI の特徴に関する正しい記述はどれか. 2 つ選べ.

  1. 撮像時間が短い.
  2. 磁化率アーチファクトが増加する.
  3. Readout 方向にも multishot 化できる.
  4. 動きによるアーチファクトを生じやすい.
  5. エヌハーフゴースト(N/2 ghost)を生じやすい.
解答
3.4

解説
1.撮像時間が長くなる。
2.磁化率アーチファクトが減少する。
3.正しい。
4.正しい。
5.エヌハーフゴースト(N/2 ghost)を生じにくい。
基本的にSingle-shot EPIに対してmulti-shot EPIは複数回の90°パルスで信号収集を行うため、撮像時間が長くなり、動きによるアーチファクトを受けやすい。また複数回に分けることで、画像が良くなる。

21)Apparent diffusion coefficient(ADC)に関する正しい記述はどれか. 2 つ選べ.

  1. ADC 値の単位は[s/mm2]である.
  2. 生体組織の温度は ADC 値に影響する.
  3. 運動検出傾斜磁場の印可時間や間隔は同じ b 値であれば ADC 値に影響しない.
  4. ADC 値を計算するためには運動検出傾斜磁場を 3 軸方向以上に印可しなければならない.
  5. 大きな MPG(b2)の信号強度を S2,小さな MPG(b1)の信号強度を S1 とすると ln(S1/S2)/(b2-b1)で求める
    ことができる.
解答
2.5

解説
1.ADC 値の単位は[mm2/s]。
2.正しい。温度が高いほど拡散が速い。
3.


r:磁気回転比 G:傾斜磁場強度 :MPG印可時間
4.分からない
5.正しい

22)正しい記述はどれか. 2 つ選べ.

  1. Compressed sensing(CS) MRI は画像容量を圧縮することができる.
  2. Quantitative susceptibility mapping(QSM)は磁化率を定量することができる.
  3. Synthetic MRI はデータベースを元に T1値や T2値などを推定するこができる.
  4. MR fingerprinting は古典的なカーブフィッティングにて T1値や T2値などを推定することができる.
  5. Chemical exchange saturation transfer(CEST) MRI は水素イオン指数の変化を捉えることができる.
解答
2.5

解説
1.CSは、ごく少数のk空間データから復元することができる
2.正しい
3. Synthetic MRI は一回のスキャンデータからT1やT2値、PD値を定量できる
4. MR fingerprintingはデータベースを元にT1値やT2値などを推定することができる
5.正しい
CS pdf
QSM pdf

23)脳血流を評価するための Arterial spin labeling(ASL)法に関する正しい記述はどれか. 2 つ選べ.

  1. T2*強調像を利用する.
  2. 遅延血流がある場合には血管内信号が高くなることがある.
  3. Post labeling delay(PLD) time は 1 秒以下に設定しなければならない.
  4. 血流に信号を与える RF パルスの印加効率は,連続波の方が単独波より高い.
  5. 本法で得られる脳血流定量値はヘマトクリット値やヘモグロビン濃度によって変化する.
解答
2.4

解説

24)脳卒中の MRI 検査に関する正しい記述はどれか. 3 つ選べ.

  1. 早期の脳梗塞部の多くは見かけの拡散係数(ADC)が上昇する.
  2. アルテプラーゼ(rt-PA)の適応選択に MRI を用いることができる.
  3. アルテプラーゼ(rt-PA)治療後の経過観察に MRI を用いことができる.
  4. 脳血管解離が疑われた場合でも拡散強調像で梗塞巣があればアルテプラーゼ(rt-PA)は適応である.
  5. 発症後 8 時間を超え 16 時間以内の急性期脳梗塞に対して血栓回収術を施行する場合は,灌流と臨床所見等
    のミスマッチを検出する必要がある.
解答
2.3.5

解説
1.低下する
2.正しい
3.正しい
4.適応でない
5.正しい

25)Proton MR spectroscopy(MRS)に関する正しい記述はどれか. 2 つ選べ.

  1. 肝性脳症はグルタミンが低下する.
  2. 脳虚血は乳酸(lactate) が低下する.
  3. 多発性硬化症はコリン(cho)が上昇する.
  4. 放射線壊死のような病態では脂質(lipid)が上昇する.
  5. びまん性軸索損傷は NAA(N-acetyl-aspartate)が上昇する.
解答
3.4

解説
1.肝性脳症では、ミオイノシトールの低下とグルタミンの増加が起こる。
2.増加する
3.正しい
4.正しい
5.低下する

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