第15回第1部

1) 正しい記述はどれか.2つ選べ.

  1. 円板状半月板は外側半月板に好発する.
  2. キーンベック(Kienböck)病は舟状骨の疾患である.
  3. テニス肘は主に尺側手根伸筋の起始部の疾患である.
  4. TFCC(triangular fibrocartilage complex)損傷は手関節尺側に好発する.
  5. SLAP 損傷(superior labrum anterior and posterior lesion)は股関節唇の上部に好発する
解答
1.4

解説
1.円盤状半月板損傷は外側半月板に好発する。幼年層に多い。正常型半月板損傷は成人若年男性に多く、内側半月板に好発する
2.キーンベック病は月状骨が潰れて扁平化する疾患
3.テニス肘は短橈側主根伸筋の起始部が障害されて生じる。上腕骨外側上顆炎。
4.正しい
5.SLAP損傷は肩関節唇の上部に起こる。

MRの実践 p319

2) 正しい記述はどれか.2つ選べ.

  1. 基底核や視床は灰白質である.
  2. 下垂体は血液脳関門が存在する.
  3. 脳の髄鞘化は2歳までにすべて完了する.
  4. 高濃度酸素を投与していると SWI(susceptibility-weighted imaging)で静脈を過大評価することがある.
  5. 高濃度酸素を投与していると FLAIR(fluid-attenuated inversion-recovery)で脳溝が高信号になることがある.
解答
1.5

解説
1.正しい
2.下垂体、松果体は脳血液関門が存在しない。
3.20歳程度
4.過小評価する。SWIは静脈の磁化率の変化(デオキシヘモグロビン)を反映するので、高酸素濃度を投与するとデオキシヘモグロビンが少なくなることにより、過小評価される。
5.正しい

3) 正しい組み合わせはどれか.2つ選べ.

  1. 肝細胞 -------- 貪食細胞
  2. 肝区域 -------- Couinaud の分類
  3. クッパー細胞 ----- 胆汁生成
  4. ミエリン鞘 ------- 肝動脈,門脈,胆管
  5. 肝右葉と肝左葉の境界 - Cantlie 線
解答
2.5

解説
1.肝細胞は肝細胞、胆管細胞、肝類洞壁細胞(類洞内皮細胞、kupffer細胞、星細胞、pit細胞)で構成される
2.正しい
3.クッパー細胞は肝臓の類洞に存在するマクロファージの一種
4.ミエリン鞘(髄鞘)は神経細胞の軸索の周りに存在する絶縁性の脂質の層
5.正しい

MRの実践 p231

4) 正しい記述はどれか.3つ選べ.

  1. 左精巣静脈は左腎静脈に合流する.
  2. 外腸骨動脈は大腿動脈に移行する.
  3. 右椎骨動脈は大動脈弓から分岐する.
  4. 後下小脳動脈は脳底動脈から分岐する.
  5. 上腸間膜静脈は脾静脈と合流して門脈になる.
解答
1.2.5

解説
グレイ解剖学アトラス

5) ガドリニウム造影剤に関する正しい記述はどれか.2つ選べ.

  1. T2 短縮効果がある.
  2. 腎機能障害があっても問題なく投与できる.
  3. 体内に沈着したガドリニウムは洗い出される.
  4. 脳内では基底核と小脳歯状核のみに沈着する.
  5. マクロ環状型は線状型のものよりも体内に沈着しやすい.
解答
1.4

解説
1.正しい。T1とT2の短縮作用がある
2.腎機能低下患者に投与すると腎性全身性線維症(NSF)が引き起こされる
3.基底核や小脳歯状核に沈着する
4.正しい
5.線上型の方が体内に沈着しやすい

6) スピン量子数が 1/2 の核種はどれか.3つ選べ.

  1. 1H
  2. 2H
  3. 23Na
  4. 31P
  5. 129Xe
解答
1.3.5

解説
陽子数か中性子数がどちらか一方、あるいは両方が奇数の核種が磁性核(スピン量子数1/2)となれる。

MRI完全解説 p16

8) 正しい記述はどれか.3つ選べ.

  1. 縦緩和時間 ≦ 横緩和時間
  2. 縦緩和速度 ≦ 横緩和速度
  3. J 結合はスピン-スピン結合とも呼ばれる.
  4. 縦緩和はスピン-スピン緩和とも呼ばれる.
  5. 横緩和はスピン-スピン緩和とも呼ばれる.
解答
2.3.5

解説
1.T1≧T2≧T2*となる
2.正しい。緩和速度は緩和時間の逆数
3.正しい
4.縦緩和はスピンー格子緩和とも呼ばれる
5.正しい

MRI完全解説 p72-99

9) MR spectroscopy に関する正しい記述はどれか.2つ選べ.

  1. 代謝物の量はピーク高を計測する.
  2. T2 値の短い代謝物はピーク幅が広くなる.
  3. 代謝物のピーク値(ppm)は静磁場強度に依存しない.
  4. NAA(N-acetyl aspartete)は神経細胞の数が減少すると上昇する.
  5. PRESS(point resolved spectroscopy)法は STEAM(stimulated echo acquisition mode)法より TE を短くできる.
解答
2.3

解説
1.
2.正しい。逆に、T2値が長いとピーク幅は小さくなる
3.正しい。ppmは静磁場強度に依存しない。ケミカルシフトでも同じ。
4.NAAは神経細胞の数が増加すると上昇する。
5.STEAM法の方が短くできる。

MRI超講義p221-241

10)受信コイルに関する正しい記述はどれか.2つ選べ

  1. Birdcage コイルは表面コイルとして用いる.
  2. 垂直磁場 MR 装置は solenoid コイルが用いられる.
  3. Loop コイルのコイル面は静磁場方向と直行するように配置する.
  4. Array コイルの信号強度は個々のコイル径が大きくなると弱くなる.
  5. LP(linear polarization)コイルの信号雑音比は CP(circular polarization)コイルの 2 倍である.
解答
2.4

解説
1.Birdcage コイルはボリュームコイルとして使用する。
2.正しい
3.平行になるように配置する。
4.正しい
5.LPコイルのSNRはCPコイルの1/√2。SARは2倍

MRI完全解説 p521-525

11)k 空間の充填方法を以下に示す.正しい記述はどれか.2つ選べ.

  1. (a)は(e)よりも体動に強い.
  2. (d)は(a)よりも撮像時間が短い.
  3. (b)は(a)よりも位相方向のFOVが小さい.
  4. (c)は(a)よりも位相方向のFOVが小さい.
  5. (e)は(c)よりも圧縮センシング再構成に向いている
解答
4.5

解説
aは通常の撮影。bはハーフフーリエ法。cはパラレルイメージング。dはハーフエコー法。eはラジアルスキャン
1.ラジアルスキャンの方が体動に強い。k空間中心を何度もスキャンするため。大きく動いたデータを捨てても再構成できる。
2.撮影時間は変わらない。ハーフエコー法の利点は、励起RFパルスと前半エコー(信号の前の部分)が重なってしまうのを防ぐために、後半エコーだけで再構成すること。利点はTEを短くできる
3.ハーブフーリエ法はk空間のエルミート対称性を利用して取得していないエコーを算出するので、FOVは変わらない。
4.正しい。FOVが半分の画像を撮影し、折り返しを利用して、本来のFOVの画像に戻す。
5.自信なし。

MRI完全解説 p192-211

12)脂肪抑制法に関する正しい記述はどれか.2つ選べ.

  1. 拡散強調画像には必要不可欠である.
  2. モーションアーチファクト低減に寄与する.
  3. Dixon 法の opposed phase 画像は脂肪組織が低信号になる.
  4. CHESS(chemical shift selective)法は低磁場装置に不向きである.
  5. STIR(short TI inversion recovery)法は脂肪の信号を選択的に抑制する.
解答
1.4

解説
1.ケミカルシフトを抑えるために必要不可欠
2.よくわからない
3.opposed phaseは水と脂肪が混在しているところが低信号になる。脂肪のみのところは低信号とならない
4.chess法は共鳴周波数の差を利用しているため、低磁場ほど水と脂肪の共鳴周波数の差は小くなる。よって不向き。3Tでは水と脂肪の共鳴周波数の差は448Hz。1.5Tでは224Hz
5.脂肪と同じTIのもの全て抑制される

MRI完全解説 p304-335

13)正しい記述はどれか.3つ選べ

  1. SWI は位相画像にローパスフィルターを施す.
  2. Synthetic MRI は脂肪抑制画像を取得することができる.
  3. フーリエ変換は deep learning によって置換することができる.
  4. MR fingerprinting では撮像パラメータを撮像毎にランダムに設定する.
  5. CEST (chemical exchange saturation transfer) MRI は MT(magnetization transfer)効果を利用している.
解答
2.4.5

解説
1.SWIは位相画像にハイパスフィルターを施す。
2.正しい
3.
4.正しい
5.正しい

MRの実践 p83
MRI完全解説 p347

14)受信バンド幅を広げたときの影響に関する正しい記述はどれか.2つ選べ.

  1. サンプリング時間は延長する.
  2. 化学シフトアーチファクトは低減する.
  3. 撮像可能なスライス枚数は増加する.
  4. モーションアーチファクトは顕著になる.
  5. SNR(signal-to-noise ratio)は向上する.
解答
2.3

解説
1.短縮する。BW=1/△Ts
2.正しい
3.サンプリング時間が短縮するので、1TR内に撮像できるスライス枚数が増加する
4.サンプリング時間が短縮するのでモーションアーチファクトは低減する
5.SNR=1/√BW。SNRは低下する

15)下図より各パルスシーケンスの撮像時間(1 スライスあたり)で正しいのはどれか

  1. EPI /Gradient echo /Fast gradient echo /Single shot fast SE /SE
  2. EPI /Fast gradient echo /Gradient echo /SE /Single shot fast SE
  3. EPI /Fast gradient echo /Single shot fast SE /Gradient echo /SE
  4. Single shot fast SE /EPI /Fast gradient echo /Gradient echo /SE
  5. Single shot fast SE /EPI /Fast gradient echo /SE /Gradient echo
解答
3

16)高速スピンエコー法にてTR 5000ms,ETL 15,Echo space 15ms,Matrix size 256×256のlinear収集で実効TE を
135msに設定したとき,撮像可能な最大スライス枚数はどれか.

  1. 18
  2. 20
  3. 22
  4. 24
  5. 26
解答
3

解説
撮像可能な最大スライス厚はTR/(ETL×Echo space)
5000ms/(15×15ms)=22.2 22枚まで可能

17)Compressed sensing MRI に関する正しい記述はどれか.2つ選べ.

  1. 収集データを間引いて画像を圧縮する方法である.
  2. k 空間をコヒーレント(coherent)にサンプリングする.
  3. MRA や MRCP といったコントラストの高い画像に有用である.
  4. ラジアル法やスパイラル法などの非直交座標系にも応用できる.
  5. スパース性が高いとは画像におけるゼロ成分が少ないことである.
解答
3.4

解説
1.収集データを間引いて画像を撮像し、足りないデータから十分なデータによる画像と同様の画像を作成する方法
2.k空間をインコヒーレント(ランダム)にサンプリングする。スパース性が高い画像に有用。スパース性が高いとは、ゼロ成分が多い画像。MRAだと血管以外はゼロに近い、MRCPだと水以外はゼロに近いといったような画像。
3.正しい
4.正しい
5.スパース性が高いとはゼロ成分が多いこと。

MRI完全解説 p212

18)EPI における歪み改善に関する正しい記述はどれか.3つ選べ.

  1. TE を短くする.
  2. Echo space を短くする.
  3. 位相方向の FOV を小さくする.
  4. 位相方向のマトリクスサイズを小さくする.
  5. 周波数エンコード傾斜磁場の印加時間を短くする.
解答
2.3.5

解説
1.関係なし
2.正しい
3.正しい
4.関係なし
5.正しい

19)Parallel imaging に関する正しい記述はどれか.3つ選べ.

  1. 比吸収率を低減できる.
  2. 周波数エンコードの信号収集を間引いている.
  3. 複数のコイルを間引く方向と直交して配置する.
  4. SENSE(sensitive encoding)法は事前にコイル感度マップを収集する.
  5. SMASH(simultaneous acquisition of spatial harmonics)法は信号収集した行から間引いた行を推定する.
解答
1.4.5

解説
1.実際の撮影枚数を少なくできるので、SARを低減できる
2.位相エンコードの信号収集を間引いている
3.平行に配置する
4.正しい。
5.正しい。SMASHはk空間上で行い、SENSEは実画像上で折り返し展開を行う。

MRI完全解説 p203

20)アーチファクトに関する正しい記述はどれか.2つ選べ.

  1. 魔法角アーチファクトは撮像断面を変更すると消失する.
  2. 化学シフトアーチファクトは脂肪信号が高周波側へシフトする.
  3. SE 法における拡張期偽同期現象は T1 強調画像で発生しやすい.
  4. 打ち切りアーチファクトは急に信号が変化する領域で発生しやすい.
  5. 折り返しアーチファクトは全方向(周波数・位相・スライス方向)に出現する.
解答
4.5

解説
1.消失しない。魔法角アーチファクトは腱などの長軸がB0に対して魔法角(55°)になるとT2が延長し、TEの短いシーケンスで高信号になる。
2.低周波数側にシフトする
3.T2強調画像で起こりやすい。TRが心拍周期の倍数に一致することにより起こる。
4.正しい
5.正しい。目立つのは位相方向。

MRI完全解説 p354

21)クロストークアーチファクトに関する正しい記述はどれか.3つ選べ.

  1. スライス間隔に依存しない.
  2. TR を短く設定すると低減できる.
  3. RF パルスの印加時間に起因する.
  4. スピンー格子緩和時間に起因する.
  5. 静磁場強度が高いほど出現しやすい.
解答
3.4.5

解説
1.スライス間隔が近いほど起こりやすい。
2.クロストークアーチファクトは他スライスのパルスを受けて、励起されているもの部分の縦磁化が回復できないために起こる。TRが短くなると縦緩和が回復できないので、出現しやすくなる。TRを長くすると改善する。
3.クロストークアーチファクトは励起パルスが矩形でないために起こる。RFパルスの励起パルスの印可時間が短くなると、矩形からずれていき、出現しやすくなる。
4.縦磁化(スピンー格子緩和)が回復できないために起こる。
5.静磁場が高いほど、T1が延長する。なので、縦磁化回復が遅いため出現しやすい。

MRI完全解説 p529-533

22)メタルアーチファクト改善に関する正しい記述はどれか.3つ選べ.

  1. TE を延長する.
  2. 空間分解能を高くする.
  3. 高磁場装置で撮像する.
  4. 受信バンド幅を広くする.
  5. 高速スピンエコー法で撮像する.
解答
2.4.5

解説
1.
2.正しい
3.低磁場装置の方が改善する
4.正しい。1ピクセルあたりのBWを上げることにより、金属による周波数ずれを抑えることができる。
5.正しい。再収束パルスを繰り返すため、磁場の不均一の影響を受けにくい

23)画像評価に関する正しい記述はどれか.2つ選べ.

  1. Parallel imagingでSNR測定をするには空中雑音法を用いる.
  2. 表面コイルを用いる場合,SNRと均一性の評価を同時に行う.
  3. 差分法を用いたSNR測定は装置付属の差分機能を使用する.
  4. CNR(contrast-to-noise ratio)が高くなると信号検出能は低下する.
  5. 空間分解能の評価は等間隔に並んだピンパターンから視覚評価を行う.
解答
3.5

解説
1.5定点差分法を用いる。
2.装置備え付けのボディコイル又は頭部系のボリュームコイルを用いる
3.正しい
4.高くなる。基本的にSNRとCNRは相関する。
5.正しい

24)NEMA における歪みの性能評価法に関する正しい記述はどれか.3つ選べ.

  1. 長方形ピクセルでも測定可能である.
  2. ファントムは円柱形もしくは球形である.
  3. 距離の測定間隔は45°以下で4 本以上とする.
  4. ピクセルサイズは最大保証範囲の1%以下とする.
  5. 測定値と実寸の誤差割合を算出し,最大誤差を表記する.
解答
3.4.5

解説
1.正方形
2.コイルの補償範囲と同じ形状のファントム。コイルの補償範囲が立方体や球形ならばそれと同じ形状を持つファントムが必要。又は、汎用性のあるファントムとして内部にリング、穴、ピンなど補償範囲の境界を定義できる構造物を含むもの。
3.正しい
4.正しい
5.正しい

25)IEC 62464-1に準じたMRIの空間分解能測定ファントムとその測定用画像を以下に示す.正しい記述はどれか.3つ
選べ.

  1. d/Lは2以上とする.
  2. (a)はLの10倍以上とする.
  3. (b)はスライス厚の2倍以上とする.
  4. この画像から得られるのはy軸に沿った空間分解能である.
  5. ROI 内の信号値と標準偏差から平均 MTF を測定することができる.
解答
2.3.5

解説
1.d/Lは0.61~0.70。
2.正しい
3.正しい
4.x軸に沿った空間分解能
5.正しい。

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